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HSPに向かない仕事と向く仕事|特徴から読み解く天職とは?

(※2023年9月12日:追記更新)

HSP(Highly Sensitive Person)を自認する方は、その特徴ゆえに職業生活に大きな悩みを抱える方が多いようです。

HSPは、「経済的に自立すること」、「いい職場に巡り合うこと」、「職場でうまくやっていくこと」が、人生を送るうえで切実な問題になるといわれています。

この記事では、HSPを自認する方の適職と天職について、特徴の面から読み解いてみたいと思います。

HSPの特徴について

まず初めに、HSPの特徴を確認しておきましょう。

HSPは病気や障害ではなく、心理学的な概念とされています。統計学的には人類の約20%がHSPに該当するそうです。

HSPと判定するために必要不可欠な条件は以下の4点です。

①深く処理する

物事の表面でなく、複雑なことや細かいことを認識する脳の部分が活発に働くため、物事を徹底的に処理したり、深く考えたりします。

②過剰に刺激を受けやすい

自分の内外で起こっている全てに、ひといちばい気がついて処理するので、精神的にかなりの負荷がかかり、それゆえに体も人より早く疲労を感じます。

③感情の反応が強く共感力が高い

物事の1つひとつを深く感じ取り、涙もろく、人の心を読むことに長けています。初めてあった人や、動物に対しても共感することができます。

④ささいな刺激を察知する

小さな音や、かすかな臭いなどの、細かいことに気づくことができます。声のトーン、視線、あざ笑い、ちょっとした励ましにも気づくことができます。


※出典:『ひといちばい敏感な子』エレイン・N・アーロン著 青春出版社


職業生活に影響を及ぼす特徴

職業生活に影響を及ぼしうる特徴には次のようなものがあります。

心理的な側面

●心配性/内気/神経質/完璧主義/臆病で怖がり
●他人の気分に左右される/忙しい日々が続くとひきこもりたくなる
●群れずに一人でいることを好む/付き合いが悪い
●マルチタスクに混乱する/一度にたくさんのことを頼まれるのが嫌い
●観察されていると実力を発揮できない/スピーチや人前でのパフォーマンスが苦手 etc.

身体的な側面

●長時間労働に弱い
●疲れやすい
●じっとしているほうが得意 etc.

感覚に関する側面

●空気中の物質に敏感/かすかな振動にも気づく
●痛みに敏感/明るい光が苦手/においに弱い/騒音に悩まされやすい
●暴力的な映像が苦手/たくさんのことが起こると不快になる etc.


これらの特徴から、HSPが避けるべき職業について、次章以降で見ていきましょう。

▶関連情報:HSPあるあるの注意点についてはこちらをご覧ください。

HSPと仕事|天職はあるか

HSPが避けるべき向かない仕事

HSPの提唱者であるエレイン・N・アーロン博士によると、HSPは戦闘員のような仕事ではなく、僧侶的な仕事が向いていると述べています。

したがって、HSPに最も向かない仕事は肉体労働でしょう。もっぱら屋外で体を使う仕事は避けたほうが良さそうです。

危険と隣り合わせの警察官、自衛官、消防士なども避けたほうが良いでしょう。

「まぶしい、音が大きい、においが強い、暑い、寒い」といった仕事も、避ける必要があります。どんな業種であれ、工場内の勤務は避けたほうが良さそうです。

始業と同時に時間に追われる仕事もお勧めできません。

さらに、不特定多数の人にあの手この手を使って商品を売る営業職や、短期間で高い目標達成を求められる仕事、社内での競争やノルマが厳しい仕事も向いていないでしょう。

HSPに向くとされる仕事

転職情報サイトなどを見ると、HSPに向いている職業がたくさん紹介されています。芸術家や感性を発揮する仕事、対人援助職、動植物に関する仕事、研究者などですね。

しかし、このような仕事でも「まぶしい、音が大きい、においが強い、暑い、寒い」はありえます。

そして、HSPが仕事を継続するうえで最も重要となるのは人間関係でしょう。

どれだけHSPにふさわしいとされる業界、業種、職種に就いたとしても、上司や同僚のパーソナリティが決定的に大きな意味を持つことは間違いないと思います。

全ての労働者が人間関係で悩んでいますが、HSPも全く同じですね。

向く仕事と天職は特定できるの?

HSPを自認する方の場合、業種、業界、職種よりも、働く組織の文化、風土、価値観のほうがより重要になるでしょう。

「敏感な神経と衝突しない仕事内容で、職場の空気が清浄で静か、残業が少なくて、人間関係がソフトで穏やか」な職場を見つけられたらそれが天職になります。業界や業種、職種は関係ありません。

端的にいうと、「ホワイトな職場(清潔で穏やかで長時間労働やハラスメントがない職場)」が向いているということです(実在するかは不明ですが)。

これは特別なことではなく、全ての労働者にとっても望ましい職場です。

HSPに限らず、全ての人が自分にとっての天職を探し求めています(これが「生きる」ということのひとつの側面かもしれません)。HSPでもそれ以外でも、こころに秘めた思いは同じなのです。

天職を探し求めるより重要なこと

先ずは自分の特徴を知ろう

どのような業種の仕事に就いても、HSPの神経を過敏にさせる「もの、こと、ひと」は存在します。

まず必要となるのは、自分自身の特徴をしっかりと知ることです。仕事をするうえで許容できるもの、できないもの、をしっかりと見極めましょう。

そこまで準備して就職したら、あとは思い悩んでも意味はありません。なぜなら、文化、風土、価値観、同僚、上司は、あらかじめ知ることができず、また、あなたの力でコントロールすることは不可能だからです。


※HSPとカウンセリングの関係についてはこちらをご覧ください。

準備をしたらあとは運に任せる

「自分でコントロールできないことは思い悩まない」

これはHSPに限らず、全ての労働者にいえることです。自分の得意、不得意を見極めて、進路を決めたなら、それ以降は運に任せるしかありません。

もし自分にとって働きやすい職場であれば、それはとても幸運なことです。もしそうでなければ、自分を柔軟に変えましょう(このお手伝いをするのが心理療法です)。

心身に不調が現れるほどでしたら、異動の相談をしたり、転職を考えましょう。

これはどんな人でも一緒です。

星の数ほどある「働く場所」の中から自分に合った職場を見つけることは、HSPだけでなく全ての労働者の願いです。

まとめ

多くの人は日々の忙しさや生活に流されて、天職を探すことを忘れて諦めています。そんな中でHSPは、その特徴ゆえ、天職を探すことが運命づけられているのかもしれません。

これが不幸なことなのか幸福なことなのか私には分かりません。

しかし、しっかりと狙いを定めて天職を探し求める姿勢は、敏感な神経を持たない残り80%の人間よりも、人生が輝いているのではないでしょうか。

天職を探し求めているHSPを自認する方には、やっぱりこの言葉を贈りたくなります。

Good luck!(幸運を祈る!)


▶HSPの関連記事はこちらにもあります。ぜひご覧ください。


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